コンビニがなかった時代、深夜に食べ物を手に入れるにはどうしたのか
公開日:2026-07-21
24時間365日いつでも開いている店がある。このインフラが日本に根づいたのは、1970年代以降のことだ。
日本にコンビニが登場したのは、1974年のことだ。
深夜に小腹が空いてもコンビニがある。急に雨が降っても傘が買える。ATMも、コピー機も、公共料金の支払いも——コンビニは「いつでも・なんでも・すぐに」を体現する場所だ。しかしこの当たり前は、50年前には存在しなかった。
今、当たり前にあるもの
現在の日本のコンビニ店舗数は約5万6000店(2024年時点)。人口2200人に1店の計算で、世界最高密度の一つだ。セブン-イレブン・ファミリーマート・ローソンの3社が大半を占める。
コンビニで購入できるものは食品・飲料にとどまらず、宅急便の受け取り・発送、住民票の発行(行政サービス)、チケット購入、銀行ATM、コピー・FAX・プリントまで多岐にわたる。
日本のコンビニのおにぎり・弁当・惣菜の品質は、飲食店と比較されるレベルになっており、「コンビニ飯」は一つの食文化として確立している。
それがなかった時代
コンビニ以前の「夜の食料調達」は、選択肢が非常に限られていた。
商店は夕方5〜6時には閉まるのが一般的だった。スーパーマーケットも夜8時頃には閉店する時代だ。深夜に食べ物が必要な場合、選択肢は「自分で作る」か「出前を頼む」か「屋台や夜食の店を探す」しかなかった。
出前(宅配)も選択肢の一つだったが、電話で注文できる店は限られ、深夜対応はさらに少なかった。ラーメン屋や居酒屋が深夜営業することはあったが、食べに行く必要があり、家で手軽に食べるには作るしかなかった。
急に必要になった日用品も、翌日まで待つか、遠くの開いている店を探すしかなかった。
どう変わってきたか
日本初のコンビニは1974年5月15日、東京・江東区豊洲に開店したセブン-イレブンだ(ただし正式に全国展開を見据えた1号店は同年の大阪府東大阪市とも言われる)。アメリカのセブン-イレブンとライセンス契約を結んだイトーヨーカ堂が展開した。
当初のコンビニは「近くて便利」を売りにした小型食料品店だった。しかし日本独自の進化として、ATM・コピー機・宅配便受け取りなどのサービスが追加され、「生活のインフラ」へと変貌した。
24時間営業が定着したのは1980年代で、深夜の人手不足や光熱費の問題はあったが、「いつでも開いている」という価値が利便性として社会に認められた。現在は人手不足を背景に、24時間営業の見直しを進めるチェーンも出ている。
「コンビニオーナー」という働き方
コンビニはフランチャイズ(FC)という仕組みで成り立っている。
本部がブランド・商品・システムを提供し、オーナーが店舗を運営する。オーナーは自分のビジネスを持ちながら、本部のサポートを受けられる——これがFC契約の建前だ。
しかし現実には、24時間営業の維持・廃棄食品のロス・人手不足への対応など、オーナーにかかる負担が大きいという問題が長年指摘されてきた。「本部と加盟店の力関係」をめぐる問題は、コンビニ業界の長年の課題だ。
街角にある「いつでも開いているコンビニ」の背後には、それを支えるオーナーと従業員の存在がある。当たり前のように見えるものほど、それを支える構造が見えにくい。