プラスチックがなかった時代、容器はすべて自然素材だった
公開日:2026-08-26
プラスチック製品は日常のあらゆる場所にある。この素材が登場する前、人々は何を使っていたのか。
プラスチック(合成樹脂)が工業的に製造されるようになったのは、20世紀初頭のことだ。
ペットボトル・食品トレー・レジ袋・家電の外装・スマートフォンのケース——現代社会でプラスチックが使われていないものを探す方が難しいほど、この素材は生活のあらゆる場所に存在する。
今、当たり前にあるもの
現在の世界でのプラスチック生産量は年間約4億トンを超える。軽い・丈夫・成形しやすい・安価という特性から、ほぼすべての産業で使われている。
一方でプラスチックごみの海洋汚染・マイクロプラスチック問題・焼却時の温室効果ガスが深刻な環境問題になっており、脱プラスチックの動きが世界規模で進んでいる。
それがなかった時代
プラスチック以前、容器・道具の素材は自然から採れるものに限られた。
木・竹・陶器・漆器・金属・ガラス・布・紙——これらが容器・調理道具・生活用品の素材だった。木製の桶・陶器の壺・竹のかご・漆塗りの器——今でも「高級品・伝統工芸品」として売られているものが、かつては日常品だった。
象牙・べっ甲・鯨の骨も生活用品の素材として使われた。装飾品・ボタン・くしなどに広く用いられ、これらのために大量の野生動物が殺された。
どう変わってきたか
1907年、ベルギー系アメリカ人の化学者レオ・ベークランドが世界初の完全合成プラスチック「ベークライト」を発明した。電気絶縁性が高く電話機・電気スイッチに使われた。
「プラスチック」という言葉は「可塑性がある(形成しやすい)」という意味のギリシャ語に由来する。20世紀に入ってナイロン・ポリエチレン・PVC・ポリスチレンなどが次々と開発され、第二次世界大戦後に爆発的に普及した。
日本では1960〜70年代の高度経済成長期にプラスチック製品が急速に普及し、家庭から象牙・べっ甲・木製の道具が次第に姿を消した。
プラスチックが救った命
プラスチックの普及にはポジティブな側面もある。
象牙・べっ甲への需要がプラスチック代替品の登場で大幅に減り、象・タイマイ(亀の一種)などの乱獲が抑制された側面がある。「プラスチックが野生動物を守った」という見方もある。
また衛生的な一次使用容器(注射器・輸血バッグなど)のプラスチック化は、医療分野での感染防止に貢献した。
「プラスチックが生み出した問題」と「プラスチックが解決した問題」の両面を見ること——今、脱プラスチックを議論するときに欠かせない視点だ。